それを運命と呼ぶのなら
2019年7月。私は絶賛メンタルを病んでいた。仕事も行き詰まり、プライベートでも悩みを抱え、爆発寸前だった。
嗚呼、こんな時にモフモフできる存在がいてくれたらなあ…
大袈裟ではなく、5分に1回はそんな考えが頭をよぎり、暇を見つけては、ブリーダー情報サイトや保護犬のマッチングサイトをくまなくチェックし、夫とデートに出かければ出先でペットショップに吸い寄せられるように入り、帰りたくないと駄々をこねる始末だった。
とはいえ、命を預かる責任といずれ訪れる別れの辛さは十分に分かっていた。
実家で一緒に暮らしていたヨークシャーテリアが亡くなった時、私は留学中で、最期の最期に一緒にいられなかったこと、もっともっとしてあげられたことがあったはずだと、苦しいくらいの後悔に苛まれた。
もう二度とあんな思いはしたくない。
自分の中で両極の思いがせめぎあっていた。
そんなある日、ふとアクセスしたペットショップに掲載されている子に目が釘付けになった。
「この子に会いたい!」
理由は分からないけど、そう思った。急いで仕事中の夫にLINEで写真を送り、どうしても会いたいとせがんだ。
そうして次の日、私たち夫婦は東久留米市にいた。
綿毛のように軽くて、不安げな目で私の腕に抱かれる白い生き物。
急に「命の重さ」の重圧に襲われた私は、一度冷静になりたいとお店を出ることにした。
でも、意外なことに背中を押したのは夫だった。
「不安や責任の重大さは理解できるよ。でももう、心は決まってるでしょ?」
そうして我が家に家族が増えることとなった。
色が白くて、なんだかちょっとファニーフェイスがジブリのキャラクターみたいだから「ハク」。
甘えん坊で、わがままで、王様気質なジャイアンだけれど、毎日よく食べ、よく遊び、よく寝て、よく出して、病気も怪我もまったくしない。
「健康」という言葉はこの子のためにあるんじゃないかと思うくらいの健康優良児。それだけで500点満点だ。
私が笑おうが泣こうが怒ろうが、いつもそばにいてくれて、元気をくれる存在。
この子が元気で幸せに命をまっとうできるように、できることは何でもする。
そう心に決めている。
4kgのちっちゃなモフモフ。その存在の大きさは何にも勝る。
出会ってくれてありがとう。
絶対に幸せにするからね、ハク。
さいごに
ペットショップの是非については私も日々いろいろ考えます。
ハクと出会う前は保護犬を迎え入れたいと考えていましたが、共働きだとなかなか受け入れが許可されなかったりと、紆余曲折ありました。
様々な価値観があるとは思いますが、動物愛護の観点から見ると、やはり里親になる、適切なブリーダーさんのところから迎え入れることが選択肢としては望ましいように思います。
いずれにしても、どのような場所から迎え入れたとしても、その子は「家族」であり、「ペット=愛玩動物」ではありません。
実際、思い通りにいかないことも多く、その度に忍耐力を試されている気持ちになることもあります。
動物とはいえ、尊厳を持った存在。そのことを忘れてはいけないと、このnoteを書きながら改めて強く思いました。