誰だって自分がメンタルを病むなんて思っていないわけで

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今年、3度目の休職をした。1社ごとに1回は休職をしていることになる。
「え、やばない?」と思ったそこのあなた。
私だって思ってますよ。「え、やばない?私?大丈夫か??」
でも、一度壊れた心はそう簡単には修復しないらしいです。残念なことに。

ことの発端を考えてみる

最初に休職をしたのは、出版社に勤務しているときだった。毎日取材に執筆に企画会議に、と忙しなくも刺激たっぷりの日々に充実感を覚えていた。ある時までは。

その頃、私のいた部署は残業するのが当たり前で「就業時間ナニソレ?」状態だった。業界としては割と普通なことかもしれないけれど、社会全体としてみれば「働き方改革」の真っ只中で、残業時間を減らして有給取得率を上げることは全社的に喫緊の課題だった。

そこで着任したマネージャーが業務改革に乗り出した。ありがたいことに、このマネージャーは私をとてもかってくれていて、二人でどうすればクオリティを担保したまま業務をスリム化できるか、毎日のように考え、議論し、新しいやり方を組み立てていった。

が、それがマズかった。スピード感をもって実行される改革に、部署の既存メンバーからは不満が噴出した。気持ちは分からないでもない。それまで是とされていたことが、今日からはダメってなるんだから混乱もするだろう。でも思っていた以上に、マネージャー(と私)VS既存メンバーの溝は日に日に深くなり、部署の空気は最悪の状態にまで陥った。

ある日、マネージャーが体調を崩して会社を休んだ。すると、堰を切ったように始まったのだ。「陰口大会」が。その場に身を置いているだけでめまいがしそうになるくらいの負の空気。

「もうそんな陰口やめましょうよ」
その言葉を何度も何度も飲み込んだ。

そしてその数日後、私は失声症状を発症した。

急がば回れ」って本当だった

失声障害を発症し、さらにうつ病と診断されたため、3ヶ月ほど会社を休むことになった。その頃ちょうど結婚したのもあり、収入が途絶えても衣食住には困らなかったのが幸いだった。(傷病手当の手続きも会社がすぐにやってくれた)

契約社員だった私は、復職か契約満了で退社するかを選ばなければならず、結局その会社を辞めることにした。(理由は明かせないくらい裏でいろんなことがありましたのです)

失業手当も出るから、本当はここでもう少し療養し、寛解を目指せばよかった。のに、私は焦っていた。「早く次の働き口を見つけなきゃ!」

頭の中はそのことでいっぱいだった。働いていなければ、存在していることが許されない、そんな強迫観念に駆られていた。

転職活動を始めると、あっさり次の職が決まった。立ち上がったばかりのスタートアップ企業のバックオフィスの仕事だった。

月一くらいのペースで通院しながら働きはじめたら、案外がんばれた。「あ、大丈夫かも」そう思って、あれこれ仕事を引き受け、バリバリと働くようになった。

半年くらいたった頃、事件はおきた。

ことの発端は私がオーナーを任されていたプロジェクトだった。会議で承認をとって進めていた案件に対して、マネージャーが真逆の提案をしてきたのだ。困惑しながら「あの会議の際に、マネージャーさんも同意し承認を取りましたよね?もう進めてしまっています」と返すと、一気に不機嫌になった。そして次の瞬間、全社員・フロア全体に響き渡るほどの大声で「君はいつも自分の尺度で物事を判断しておかしいと思わないのか!」と叱責された。

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脳内がバグるとはまさにこの事だと、振り返って感じる。あまりのことに、隣にいた同僚が「いや確かに、会議でマネージャーさんも合意の上で承認取りましたよ」と助け舟を出してくれたが、一度入ったスイッチはそう簡単には切れないもので(と言うか引っ込みがつかなくなるのかもしれない)、訳の分からないまま怒鳴られて茫然と立ち尽くすままだった。

そして、頑張ってきた私の糸はぷっつり切れた。

頑張りたい、頑張りたい、頑張りたい。でも

2度目の休職のときは1度目の時よりも堪えた。せっかく頑張っていたのに。せっかくいろんなことがうまくいっていたのに。何でなんでナンデ。

毎日考えては布団の中で泣いていた。しばらくはがむしゃらに働くのはやめよう(と言うか、働くのはちょっと待ってねと主治医からも言われていた)と思い、アルバイトを探しはじめた。

家でできて、自分のスキルが生かせそうな仕事。

いろんなご縁がつながって、とある企業の広報を担当させてもらえることになった。フルリモートで仕事もでき、フレキシブルに働ける。通院中であることも正直に話し、理解が得られた。まさに理想的な環境での仕事だった。

ここでならやっていける。

そう思っていたし、実際のところうまくやれていた。

でも、今年のゴールデンウィーク手前のある朝、PCを開くと頭が真っ白になった。

「え、なんで?」

自分でも訳がわからなかった。タスクはたくさんあるはずなのに、何をしたら良いのかわからない。昨日までできていたことがいきなりできない。Slackの通知音が鳴るたびにパニックになる。

そして、私は3度目の休職をすることになった。

分かったことは、一度ぺしゃんこになった心は、そう簡単には元には戻らないこと。
戻ったように見えても、とても脆く、強度を上げていくためには相当の時間が必要なこと。
些細なできごとがトリガーになりうると言うこと。

だから、どうかメンタルの調子を崩してしまったら、焦らず・公的サービスや扶助を最大限に活用して、ゆっくり寛解を待つ。

焦って復職や転職しても良いことは一つもないです。1度目の休職で学べばよかったけど、ここまでの事態になってようやく身を以て理解しました。(おっそ)

今は、投薬とカウンセリング(主にトラウマ療法)で寛解を目指しつつ、自分のできる範囲でやれるお仕事で食いつないでいます。

ここまで読んでくださった方、どうかどうかご自愛ください。
当たり前のことですが、自分を守れるのは自分だけです。

多様化する社会の中で、心が疲れてしまった人も胸を張って息ができる空気が生まれると良いなと願いを込めて。おしまい。

 

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